保護犬を救え!「ピースワンコ」は殺処分ゼロ継続を目指します
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動物福祉
日本では毎年数万頭の犬や猫が殺処分されています。
この記事では、ピースウィンズ・ジャパン(代表理事・大西健丞氏)が運営するピースワンコついてご紹介し、犬の殺処分を減らすため私たちにできることを考えていきます。
日本における犬猫の殺処分の現状
殺処分は、ペットに関する最も深刻な社会問題の一つです。
環境省の発表によると、2018年度の年間殺処分数は犬・猫合計で約3.8万頭ということです。
しかし、この10年の推移を見ると殺処分数は徐々に減少しています。
その理由として
- 民間の動物愛護団体が引取るペットの数が増加したことにより、保健所が引取るペット数が減少した。
- 2012年に動物愛護法の改正が行われたことにより、「終生飼養の努力義務」が法律上明確にされ、保健所は 安易な引取りの申し出を拒否できるようになった。
ということがあると思われます。
地方自治体が運営する保護センターは、人手・収容能力・経済的制約といった点で
- 引取った犬や猫をを保護し続けることは困難。
- 引取った動物を譲渡するのにも限界がある。
のが現状です。
なので、民間の愛護団体と協力し、保護できる動物の数を増やすこと、そして、新しい飼い主に譲渡できる数を増やすことが大切です。
このような行政と民間団体の協力は、既に神奈川県や東京都、広島県等で行われています。
そういった団体の一つが、ピースウィンズ・ジャパンが運営するピースワンコです。
ピースウィンズ・ジャパンとは
ピースウィンズ・ジャパンは「必要な人々に、必要な支援を」という合言葉を掲げ、国内外を問わずあらゆる社会問題に取り組んでいる国際協力NGOです。
NGOというのは貧困、飢餓、環境などの世界的な問題に対して、「民間」の立場から、国境や民族、宗教の壁を越え、利益を目的とせずにこれらの問題に取り組む団体のことです。
ピースウィンズ・ジャパンの活動は大きく分けて「緊急支援」「復興・開発支援」「国内事業」の3つがあります。
これまでに世界33か国と地域で活動をしていますが、日本では社会問題の解決に力を入れた活動をしており、地域活性化や犬や猫の殺処分ゼロを目指した動物の保護・譲渡活動などに取り組んでいます。
公式HP→ピースウィンズ・ジャパン
ピースワンコとは
ピースワンコは、2011年に犬猫の殺処分数が全国ワースト1位となった広島県で、2012年から犬の引取りを始めました。
ピースワンコの拠点は、広島県神石高原町にある施設で、西日本最大級のドッグランを併設しています。
災害救助犬やセラピードッグなどの育成も行っています。
保護犬と犬を家族に迎えたい人たちとのマッチングに取り組んでいます。
- 殺処分ゼロにチャレンジ。
- 人を助けてくれる犬の育成。
- 人と犬のきずなを深める場を作る。
の3つの取り組みを柱にして、自治体や他の動物保護団体とも連携を強め、持続可能な「殺処分ゼロ」のモデルを確立して、全国に広げていくことを目指しています。
併せて、必要な法制度の整備、ペットショップの在り方など、社会全体の意識や仕組みの変化に向けても取り組んでいます。
公式HP→ピースワンコ
ピースワンコは週刊新潮 で、「有名人を広告塔に殺処分ゼロという数字を看板に掲げて資金を集める団体だ」と糾弾された経歴があります。
- 保護犬の避妊去勢手術を行っていないこと。
- 狂犬病の予防注射を怠っていたこと。
- 10畳ほどの部屋に20頭ほどの犬を入れ、犬たちがストレスにさらされていたこと。
など、ピースワンコの管理体制が問題になりました。
これに対し、ピースウィンズ・ジャパンではHPで見解を述べています。
詳しくは上記のリンクを見ていただきたいのですが、抜粋すると
殺処分を防ぐために保護される犬が当初の想定より多く、十分な飼育環境を用意できなかったことを認め、現在は施設の拡大を進め、スタッフの数も増やしているとしています。
食餌、去勢避妊手術、医療に関してはそれぞれの犬の状態に合わせて対応しているとしています。
特に、生き物本来の機能を大切にしたいという考えから、年齢や病気の有無など医学的な観点から総合的に判断し、去勢・避妊手術を行っています。
保護犬の頭数増加に伴って、一頭一頭の健康に留意しながら手術を進め、2020年12月現在は2000頭を超える犬たちが不妊手術を済ませています。
日本ではまだ多くの犬たちが捨てられ、税金を使って殺処分機を動かし何万頭もの命を奪っている、その現状を変えたいと抱負を述べています。
ピースワンコで里親を募集している犬たち
ピースワンコでは保護した犬の里親を募集していて、広島、湘南、世田谷、福山、東京あきるの、生駒、岡山の8つの譲渡施設で、里親を希望する人に保護犬を紹介しています。
譲渡までの流れを見ていきます。
1.犬に会いに行く
まずは、神石高原町の保護施設か8か所にある譲渡センターにいる犬に会いに行きましょう。
スタッフさんから、家族構成やライフスタイルに合った犬を紹介してもらえます。
2.里親希望申込書を提出
紹介された犬との相性に問題が無ければ、里親希望申込書を提出します。
3.家庭訪問
申込書の内容に問題が無ければ、スタッフさんがご家庭を訪問し、環境の確認、飼育方法やしつけの相談を行います。
4.譲渡
訪問結果に問題が無ければ、誓約書にサインし、犬の引き渡しになります。
犬をを迎える準備ができたら、お迎えに行きましょう。
譲渡される犬の全てにマイクロチップが入れられます。
たくさんの可愛いわんこたちが、温かい家庭に入ることを待ち望んでいます。
ふるさと納税で支援もできます
殺処分される犬をなんとか助けてあげたいと思っても、様々な事情で家に犬を迎えられない人もいますよね。
私たちは日本盲導犬協会で繁殖犬飼育ボランティアをしているので、多頭飼いは認められません。
なので、私たちもその一人ですね。
そういった人は「ふるさと納税」を使って支援することもできます。
ふるさと納税というのは、実質負担2000円の「寄付」という形で地域を応援する仕組みです。
2000円を超える部分については、所得税と住民税の還付、控除を受けることができます。
支援を考えている方は「ふるさとチョイス」のサイトからふるさと納税を行うことができます。
まとめのようなもの
迷子になったり、捨てられたり、様々な事情で飼い主さんがいないわんこたち。
その多くは地域の保健所に保護されますが、保健所では何日も犬を預かり続けることはできず、多くの犬が殺処分されます。
広島県の他にも「殺処分ゼロ」を表明する自治体はありますが、ピースワンコのような動物愛護団体の受け入れに頼っているのが現状です。
多くの人が保護犬を家族に迎えれば、殺処分される犬も減りますが、持ち込まれる犬が減ることが何より大切です。
個人でできることは
- 保護犬の里親になる。
- 寄付などで愛護団体を支援する。
これらは保護犬を救う一助になります。
保護犬を出さないためには
- 一人ひとりが犬を終生大切に飼育する。
- 迷子にしない。
- もし迷子になっても身元が分かるようにする。
- 迷子犬が繁殖しないように避妊去勢手術(賛否両論ありますが)をする。
といったことも大切です。
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