盲導犬ユーザーが感じた委託修了式

公開日: : 盲導犬ボランティア

2018年5月13日、私達は4頭目パピーのウェルシーを送り出しました。

ウェルシーたちW‐15胎の委託修了式に、知り合いの盲導犬ユーザーの井出さんをお誘いしたところ

ぜひ、お見送りしたい。

と言ってくださったので、井出さんにもウェルシーを見送っていただきました。

盲導犬がいても苦労がある

井出さんは、30代で病気のため視覚障害になり、やがて盲導犬を持つことに決めました。

しかし、盲導犬と一緒に歩くことは想像以上に大変だと感じたそうです。

大手ファミレスチェーン店でさえ

わんちゃんは外で待たせていただけますか?

盲導犬ですけど・・・。

盲導犬でもですね、外で待たせていただけないかと・・・。

ということはよくあることで、そのたびに店側と交渉するそうです。

電車に乗ったときも、盲導犬を連れていると場所を取ってしまいますし、犬が足や尻尾を踏まれたりしないか気を使います。

足腰が悪いわけではないので立つのは構わないのですが、できれば座って足元に犬を入れた方が、場所も取らず他人に迷惑にもならず、犬も安全なので、優先席の前に立つようにしているのですが、まず席を譲ってもらえることはないそうです。

「めくら」とか「かたわ」といった差別的な言葉を言われたこともあるそうです。

目の不自由な方にとって、盲導犬がいてもご苦労があるのだなあと思いました。

そんな井出さんは、盲導犬への理解を深めてもらうために講演活動を精力的に行っていらっしゃいます。

私達が井出さんと知り合ったのも、たまたま地域のイベント祭りに出かけたら、井出さんがマイクを持って盲導犬についてのお話をされていたからでした。

この頃は2頭目のロンド号との生活になっていましたが、盲導犬と暮らし、講演活動を行い、また1頭目のウィッシュ君とのお別れを経験したこともあり、パピーウォーカーの私たちに大変興味を持ってくださいました。

ユーザーが感じたパピーウォーキング修了式

私たちパピーウォーカーが1頭の犬と生活を共にするのは1年弱ですが、ユーザーさんは8年くらいの期間を一緒に過ごします。

相棒である犬との絆は、パピーウォーカーよりもはるかに強いものになるのではないかと、私は想像しています。

盲導犬を引退させるときは、どれほど辛いものかと思ってしまいます。

ウィッシュ君とのお別れを経験した井出さんには、今回の修了式に臨むパピーウォーカーさんの気持ちが、自分のことのように感じられました。

各パピーウォーカーが一言づつ話す場面では、声を詰まらせるパピーウォーカーさんの気持ちが胸に迫り、涙ぐみそうだったということです。

そして

特に初めてのユーザーさんこそ、こういったところに参加してパピーウォーカーさんがどんな気持ちで子犬を育ててくれたのか肌で感じたり、お別れの気持ちを身近に感じた方がいいと思う。

と話していました。

相互理解って大切なことですよね

人は自分が体験していないことには思いが至りませんし、経験しないとなかなか学べないものです。

しかし、人には想像力がありますよね。

私たちもアイマスクを着けて歩くことを体験すると、見えないということがどういうことなのか想像できるようになりますね。

ユーザーさんも自分でパピーを育てたり、訓練することはできませんが、その立場の人の話を聞いたりレクチャーや修了式などを体感するだけでも、想像力は働くと思います。

もし自分が〇〇だったら

と考えるきっかけになりますよね。

以前、神奈川訓練センターのセンター長さんに

パピーウォーカーはレクチャーの中でユーザー講話があったりしますが、ユーザーさんもパピーウォーカー(他のボランティアでも)の生の声を聴く機会があってもいいのではないでしょうか?

とお伺いしたことがあります。

(例えば共同訓練中に1度パピーレクチャーに参加するなど)

センター長さんによると

パピーレクチャーは土日に行われますが、共同訓練は土日は休みなので、ユーザーさんは自宅に帰る方が多いです。

なので強制はできないのですが、帰らない方には見学をしていただいてはいます。

ということでした。

W‐15胎の修了式に参加してくださった井出さんの感想をお伺いして

  • 協会とボランティア
  • 協会とユーザー

という信頼関係だけではなく

  • ユーザーとボランティア

の相互理解も大切だと感じました。

井出さん、ウェルシーの旅立ちを見送ってくださってありがとうございました。

一般の方も

もし自分が目が不自由だったら

と想像力を働かせて、ユーザーさんと盲導犬を温かく見守っていただけたらと思います。

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Comment

  1. サナ父ちゃん より:

    読ませて頂いて、これからも視覚障害のある方と盲導犬が過ごしやすい社会となるよう、自分ももっと頑張ろうと改めて思いました。

    こうして問題提起して頂いて、関心が多くの方々に広まっていけば…

    いつもありがとうございます。

    • gd.vol より:

      サナ父ちゃんさん
      多くの人が関心を持ってくださると嬉しいですね。
      点字ブロックの上には自転車などを置かない。
      障がい者用の駐車場には駐車しない。
      など、小さなことでもできることはたくさんありますね。

  2. サンディpw より:

    ユーザーさんとボランティアの相互理解、まさにそこが深まればいいな、と思います。
    先日、ユーザーさん宅にお邪魔し、たくさんお話をしてその必要性を感じていたところです。
    お互いの現実を知れば、より良くパピーを育てるヒントが得られるし、ユーザーさんの疑問もいくつか解消出来ると感じました。

    井出さんの講演会、一度聞いてみたいです。開催の折には是非お知らせ下さい。

    • gd.vol より:

      サンディPWさん
      ユーザーさんとお話していると、盲導犬と暮らして良かったこととか、また、こんなことが不便に感じるんだな、とか発見がありますね。
      サンディちゃんのユーザーさんとお話しされて、学ばれたところで2頭目パピーを育ててみませんか?
      復帰を楽しみにしています♪

      井出さんの講演、情報が入ったらご連絡しますね。

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