盲導犬について素朴な疑問と盲導犬に向く性格の犬
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盲導犬ボランティア
先日、久しぶりに会った友人から盲導犬について質問されました。
盲導犬については、知っているようで知らないことがたくさんありますよね。
私もそうでした(今も勉強中)
盲導犬についてもっと知りたい
友人は、最寄駅で時々盲導犬とユーザーさんを見かけるそうです。
ユーザーさんと一緒に颯爽と歩く盲導犬や、電車内でおとなしく伏せている盲導犬に
頑張っているね~。
偉いねえ~。
と尊敬のような気持ちを感じるそうです。
素朴な疑問
◆盲導犬って全く目が見えないと使えないの?
全盲の人はもちろん、全盲ではなくても視野が欠けたり、全体が薄明りのようにぼんやりしか見えないなど、「目の見えにくい人」も盲導犬の使用は可能です。
◆盲導犬を使うにはどうするの?
駅で盲導犬を連れている男の人を見るんだけど、いつも同じ犬だと思うんだよね。
いつも同じ犬を貸してくれるの?
なるほど、ユーザーさんが外出などで必要な時に、その都度盲導犬を貸してもらうのだと思っているわけね。
盲導犬を利用している人は、その犬が引退(日本盲導犬協会では10歳くらい)するまで、家庭犬と同じように毎日パートナーの盲導犬と一緒に暮らしています。
◆目の見えない人が犬の世話をできるの?
そう思いますよね?
「盲導犬ユーザー」になるためには「共同訓練」があります。
4週間程度、協会で盲導犬(仮免中)と一緒に共同生活をしながら、歩行訓練と共に、犬との接し方や、お世話の仕方を学んでいきます。
フードを食べさせたり、排泄のお世話をしたり、グルーミングをしたり、一人でできるようにします。
盲導犬を得て、念願だった一人暮らしができるようになった!
というユーザーさんもいます。
◆颯爽と歩くよね
白杖だと杖を左右に動かして、ひとつひとつ確認しながら歩きますが、盲導犬は犬の目で周りを見て安全を確認しながら歩けるので、普通の人が歩くスピードで歩けます。
また、盲導犬は自分が通れても人がぶつかる高さの障害物も避けることができるので、頭や肩をぶつけるということも避けられます。
◆道を覚えるんでしょ?
盲導犬は道は覚えません。
実際はよく使う道は覚えてしまうかもしれませんが、主なお仕事としては
- 段差を教える。
- 曲がり角を教える。
- 障害物をよける。
です。
(そのほかにも細かいお仕事はあります)
ユーザーさんは、目的地までの道順を頭に地図を描いて盲導犬に指示を出していきます。
盲導犬は
角だよ。
段差だからね。
と教えるだけです。
ユーザーさんは、犬からの情報を得て判断して、盲導犬に指示を与えて歩いていきます。
犬は信号の色を判断できないので、車の音の方向などからユーザーさん自身が判断します。
なので、周りの人が
赤(青)ですよ。
などと声をかけてくださると助かるということです。
駅まで行って♪
と指示を出すと、盲導犬が駅まで連れて行ってくれると思っている人もいるのですが、違うんですよ~。
◆どうして盲導犬ってあんなに大きいの?
例えば
このまままっすぐ歩くと壁にぶつかっちゃうよ~!
などという場合に盲導犬はユーザーさんの前に体を入れて、ユーザーさんがそれ以上進めないようにブロックします。
あまり小さいと、知らずに足を出したら犬を蹴飛ばしてしまうかもしれませんし、ブロックにもなりませんよね。
歩行しているときに、犬の体に手が届きやすい高さというのもいいですね。
盲導犬にレトリバー種が使われるのは、たれ耳でアーモンド型の目という威圧感の少ない外見であること。
元来狩猟犬として人と一緒に仕事をすることが好きな性格という点からも、盲導犬に向いているということです。
◆電車の中で伏せておとなしくしているけど辛くないの?
盲導犬になるまでには「待機」の訓練もします。
しかし、もともとやることが無くて暇な時間は「寝ちゃお~」と思うような犬が盲導犬に向く気質の一つです。
彼らは暇さえあれば寝たりくつろいだりする性格と思ってください(笑)
我慢強くて、厳しい訓練に耐えた犬が盲導犬になるというわけではなく、自然体で盲導犬に向く気質の犬が、盲導犬に必要なお仕事を学んで盲導犬になります。
◆じゃあ、どんな気質の犬が盲導犬に向くの?
日本盲導犬協会のホームページによると
- 温厚で、人や他犬、他動物に対して攻撃性の無い犬。
- 人との作業を楽しんでできる(作業意欲が高い)犬。
- どこにいてもあまり動じない順応性の高い犬。
ということが記載されています。
記載にはありませんが訓練士さんによると、繊細なところも無いと人に意識が向きにくく訓練がしにくいそうです。
おおらか過ぎても繊細過ぎても盲導犬には向かず、バランスが大切なのでしょうね。
まとめのようなもの
盲導犬については知っているようでも、知らないことがたくさんありますね。
私自身も学びながら、周囲の人にできる限り学んでいただけるように心掛けていきます。
盲導犬に向く気質を生まれながらに持っている犬が、盲導犬に必要なことを学んで盲導犬になります。
彼らは人の感覚で「お仕事を頑張っている」わけではなく、愛犬が飼い主さんとの散歩や一緒の時間を楽しみにしているように、ユーザーさんと歩いたり一緒にいることに幸せを感じているのだと思います。
健常者も障害者も暮らしやすい社会になるように願っています。
(写真はイズモ、PR犬、ステイ仔1号さん、シオンです)
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