母犬の子育ての違いは子犬の性格形成に影響するの?
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盲導犬ボランティア
先日、日本盲導犬協会のボランティアや賛助会員に向けて発行している会報誌の「盲導犬くらぶ」がわが家にも届きました。
今回の会報誌の中に「母犬の養育行動とストレス応答の関係性が明らかに」という記事があったのでご紹介します。
母犬の養育行動と子犬のストレス応答
今回の研究は、麻布大学獣医学部と盲導犬協会の10年以上にわたる共同研究によるものです。
研究の結果から
研究の結果から
母犬の養育行動が十分である場合、子犬はストレスに強く恐怖を感じにくい成犬に育つ。
ということが明らかになりました。
研究では、ストレスや恐怖を感じると尿中の値が上昇する「コルチゾール」というホルモンに注目し、子犬が5週齢、7週齢、約1歳のタイミングで採尿、また母犬も採尿しました。
1歳3か月頃に行われる子犬の稟性評価と、母犬の産後5週目までの養育行動の映像記録も分析に使いました。
それらのデーター分析から
母犬が子犬に触れる、舐める、授乳する、遊ぶなどの養育行動を十分に行った場合には、子犬のコルチゾール値が生後5週齢時にいったん高まり、その後は低下し、成長後は
- ストレスからの回復力が高い。
- 環境変化に順応しやすい。
- 恐怖にも適切に対応できる。
などの特徴を持つ成犬になることが分かりました。
(以上、会報記事からの抜粋です。)
親や周囲の大人の愛情と子どもの状態との関係において、人間の場合で感覚的には多くの人が関係性を感じていると思いますが、具体的にデーターを取って検証がなされたことは大きな成果ですね。
ネズミを使った実験
ずいぶん前のことで、何で読んだのか覚えていないのですが、ネズミを使った実験の話を読んだことがあります。
実験は、子ネズミをよく舐めてあげる母ネズミと、あまり舐めてあげない母ネズミの比較でした。
成長した子ネズミに、高さがあり下が見えるアクリル板の橋を渡って餌を取りに行くという実験をしました。
母ネズミの養育行動が高かった子ネズミは、橋を渡れる個体が多かったのに対して、養育行動が低かった子ネズミは橋を渡れない個体が多かったということです。
それは生まれつきの気質なのでは?
ということで、次の出産では子ネズミを入れ替えてみましたが、結果は同じで母ネズミの養育行動が高い子ネズミの方が、恐怖を克服する力が強かったということです。
愛のむちも必要?
一方で
こちら→母犬の「愛のむち」受けた犬、優れた盲導犬に育つ 米研究
の研究では
生後最初の5週間に母犬が子犬たちを甘やかせ過ぎず、自ら学べるように育てると、子犬は成長して他の犬より優れた盲導犬になるという。
母犬が子犬を溺愛すると、子犬は臆病に育って新たな状況を恐れがちになり、目の不自由な人々を支援するための厳しい訓練プログラム(原文訳のままです)についていけなくなる傾向がみられた。
のだそうで
成功のカギとなる尺度は、母犬が子犬に授乳させる際に立っているか横になっているかだった。
ということです。
こちらの研究では、母犬が試練を与える子犬の方が盲導犬になる確率が高い。
という結果が出ています。
盲導犬になるかどうかは、いろいろな要素が絡む気がしますが、可愛いがるだけでも、子どもは逞しく育たないのかもしれないですよね。
試練を与えるのもまた「愛情」なのかもしれませんね。
育児は「放任」も「過保護」もダメってことなのでしょうね。
母犬の養育行動を促すには?
母犬が愛情をかけて子犬を育てることが、子犬に良い影響を与えることは分かった。
じゃあどうすればいいの?
ですが、「盲導犬くらぶ」の記事によると答えは
母犬に任せる。
のようです。
母性というのは本能で、養育行動そのものにはそれぞれの母犬の個性があります。
それを人がコントロールするのは難しいです。
では、どうするかというと
母犬が安心して落ち着いて子育てをする環境を整える。
ことで、具体的には散歩や運動で気分転換をしたり、スタッフさんが寄り添ったりするなど、母犬のストレスを軽減するよう心掛けているということです。
子育て中の母犬は良い環境でリラックスできれば、それぞれの母犬のやり方で母性を発揮するのでしょうね。
十分に母性本能を発揮できる環境を整えることが、人が犬の子育てをサポートすることになるのですね。
まとめのようなもの
「盲導犬くらぶ」の記事、「母犬の養育行動とストレス応答の関係性が明らかに」をご紹介しました。
繁殖犬をお預かりしている私たちができることは、お預かり犬の身体と心の健康管理ですよね。
日頃幸せに暮らしていない犬が、出産育児の時だけ
さあ、環境は完璧だ!
育児を頑張れ!!
と言われても、それは難しいのではないかと思います。
単純に、犬が幸せそうだと自分も嬉しい♪
というのもありますが、ウェルシーの子犬たちが誰かを笑顔にしてくれることを願って、ウェルシーの毎日が楽しいものであるように心がけていきたいです。
自宅出産の母犬は、住み慣れたおうちで出産育児ができるのが最大のメリットですね。
母子を温かく見守るようなイメージで、臨むと良いのかもしれませんね。
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