【パピーウォーカー】キャリアチェンジになった「うちのこ」に会いたい
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パピーウォーカーの気持ちとか
日本盲導犬協会では、育てたパピーがキャリアチェンジになった場合、原則としてパピーウォーカーは引き取れない決まりになっています。
キャリアチェンジになった犬は、他の補助犬になったり、盲導犬のお仕事をPRするPR犬になる場合もありますが、ほとんどがボランティア登録をしている一般家庭に譲渡されます。
キャリアチェンジになった「うちのこ」に会いたい
初めてのパピーがキャリアチェンジになり、新しい家族のもとで暮らしているというパピーウォーカーさんからメールをいただきました。
なんと、キャリアチェンジボランティアさんが、パピーを連れて遊びに来てくださったそうです。
パピーウォーカーさんは現在2頭目のパピーを育てていますが、1日だって初代パピーを忘れたことは無いはずです。
面会が叶い、初代パピーが新しい家族のもとで可愛がられ、楽しく暮らしているのを見て心から安心したとのことでした。
パピーはパピーウォーカーを忘れない
初代パピーは、キャリアチェンジボランティアさんと一緒に車を降りて、お家へ向かうとちゃんと家を覚えていて、当たり前のように家の中に入って行きました。
思わず笑っちゃいますよね。
不思議とよく覚えているんですよね。
以前、現役盲導犬がパピーウォーカーさんのお家に里帰りした記事を書きましたが、盲導犬だって家に入る前から
知ってる、知ってる、ここ知ってる♪
と言わんばかりに当たり前のように家に入り、部屋に入ったら完全にパピー返りして爆走しましたからね。
犬としては
当たり前じゃん、忘れるわけないじゃん。
なのかもしれませんが、パピーウォーカーは
- 育てたパピーが幸せに暮らしているのか?
という心配や不安とともに
- 今が幸せ過ぎて、パピーはもう自分たちのことを忘れてしまったのではないか?
という不安と、両方がありますよね。
対面は、その両方の不安が吹き飛ぶ瞬間で、心から安心しますし
この仔を育てて良かったな。
と幸せを感じる瞬間でもありますね。
パピーウォーカーに会うのは不安?
一方でキャリアチェンジボランティアには
- この仔が小さいときどんな仔だったのか、お話を聞いてみたい。
という思いもありつつ、パピーウォーカーとやり取りをして
愛情いっぱいに育てました~♪
と(面と向かって言われなくても)いうオーラを感じると「重い」と思ってしまうかも…。
うっかりパピーウォーカーと連絡を取り合って
この仔はどうで、こうで…。
とパピーウォーカーに言われたら
いいから放っておいて!
と思ってしまいそう…。
という人もいます。
でも、全く音沙汰無しというのも薄情かなあ、と思って写真を差し上げたりしてやり取りをして、会ってみたら
- 子犬のときのことを話してもらえて良かった。
とか
- なぜこの仔は、こういうときこうするんだろう?
と思っていたことが理解できて、接し方が分かって良かった。
という人もいます。
キャリアチェンジボランティアにとって、パピーウォーカーに会うというのは恐る恐るですね(笑)
そうかと思うと、私のブログを見つけてくださり、迎えたキャリアチェンジ犬が私たちがお預かりした仔と兄弟姉妹だったことを知り
この仔の小さいときのことを知りたいので、パピーウォーカーさんと連絡が取れますか?
とメールをくださった人もいます。
積極的に連絡を取りたい人もいるものの、キャリアチェンジボランティアの方がハードルが高そうですね。
犬は心得ている
キャリアチェンジボランティアの中には
パピーはパピーウォーカーのことを忘れないと言うじゃない?
「うちのこ」になったはずの仔が、パピーウォーカーに会って自分たちより嬉しそうにしたら、ちょっと嫌かも…。
もう帰りたくない!
なんて言われたらどうしよう~。
と感じる人もいます。
でも、案ずるよりなんとかで杞憂に終わります。
パピーは久しぶりにパピーウォーカーに会って、嬉しさ爆発、大興奮する仔も多いです。
しかし、一時のこと。
パピーにとってはどちらも大切な人なので、どちらにも甘えますが、帰る家と自分の居場所は分かっています。
メールをくださったパピーウォーカーさんの初代パピーも「帰るよ」の一言で振り向くこともなく帰っていったとのことでした。
犬が「今」を優先するのが辛い?
私たちは育てたパピーに会えたのはイズモだけです。
当時2歳だったイズモは、私たちに会った途端にパピー返りし、甘噛みで大歓迎してくれました。
でも、一通り挨拶が終わると「今の家族」を優先し、常に今のおとうさん、おかあさんを目で追い、気にかけ、私たちには他人行儀でした。
それを見て私は、イズモがすっかり新しいおうちに馴染んで、可愛がられていることが確認できて心から安心しました。
しかし、夫は
イズモはすっかりあちらの仔になっちゃったな。
と寂しそうでした。
メールをくださったパピーウォーカーさんにそう話したら
うちも~!
と言っていました。
え?
そうなの?
男性の方が後を引きずる?
犬は今を生きているんだよ。
覚えていてくれて大歓迎してくれて、今を幸せに生きているということが分かったのだからそれでいいんじゃない?
パピーウォーカーは他人のために犬を育てる
育てたパピーがキャリアチェンジになり、他の家庭に譲渡されたとき
もう自分はこの仔と暮らせないし、好きな時に抱きしめることもできないのに、あの人たちはこれから何年もこの仔と楽しい時間を過ごしていくのだ、と思うと涙が止まらない。
と言ったパピーウォーカーさんもいました。
自分から幸せを奪われるような気持ちになっちゃうのですね。
パピーウォーカーが子犬を育てるのは、自分のためではなく他人のため。
頭では分かっていても、心は拒否しちゃうんですよね。
あなたが育てたパピーには、あなたと過ごした時間があって「今」があります。
あなたのことを忘れることはありませんし、あなたが注いだ愛情が消えることもありません。
「心」に繰り返し、そう語りかけてあげてくださいね。
まとめのようなもの
日本盲導犬協会では、育てたパピーがキャリアチェンジになった場合、原則としてパピーウォーカーが引き取ることはできません。
パピーウォーカーは何年経っても育てたパピーのことを気にかけています。
それは、子育てと同じ。
わが子が幸せであって欲しいからです。
盲導犬ユーザーさんも、キャリアチェンジボランティアさんも、思い切ってパピーウォーカーさんに連絡を取ってみませんか?
小さかった頃の話を聞けて、役に立つことがあったり、新たな発見があるかもしれません。
面倒そうな人だったらそっとフェードアウトすればいいんです。
犬が繋いでくれるご縁で、わんこライフがより豊かになるかもしれません。
(写真は1.2枚目、パピーウォーカーさんからいただいた初代、2代目パピー、3枚目、幸せな家庭犬イズモです)
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Comment
繁殖犬ボラをやっていても、ほとんどキャリアチェンジになった子と接触することはないのですが、以前ケインのキャリアチェンジになったパピーのボラさんご家族とお話しできる機会がありました。
ほんの数時間の出会いでしたが、あの小さかったパピーは今は元気に幸せに暮らしているんだとわかって、心から安心し、後はお任せしますという気持ちになれたのを思い出しました。
そして、他の会うことのないたくさんのパピーたちもきっと新しい家庭でそれぞれ幸せに暮らしているはずだと思えるようになりました。
協会のパピーウォーカーさんもキャリアチェンジボランティアさんとほんの少しでもやり取りできる機会があったらいいですよね。
ケインママさん
先日のキャンドルナイトでキャリアチェンジになったケイン子Kちゃんに会いました。
優しいお顔をしていて、穏やかに幸せに暮らしているように感じました。
育てたパピーが盲導犬になってもキャリアチェンジになっても、交流できるかどうかは先方の気持ち次第。
私の周りは
パピーウォーカーさんに会ってみて良かった。
という人が多いので、お迎えしたわんこが馴染んで落ち着いたら、連絡を取ってくれるといいなあと思います。
犬を仲立ちに、人とのつながりが増えるって素敵なことだと私は思いますが、そう思わない人もいるので(良い悪いではなく考え方は人それぞれ)育てたパピーが幸せであることを祈るばかりです。