吠える犬には叱るよりも「ストーリーを変える」多和田悟氏の本を読んでみたよ

公開日: : あるといいな商品のご紹介, 吠え

多和田悟さんの本

「クイールを育てた訓練士」を読みました。

1頭の盲導犬と人々の絆を描いた「クイール」

映画にも、TVドラマにもなりましたね。

吠える犬にはストーリーを変える

この本の趣旨ではないのですが、訓練士さんのご指導のもとに盲導犬パピーを育ててきた私が、ものすごく心に落とし込めたのが、犬への接し方の部分で「ストーリーを変える」というところでした。

例えば吠える犬に対して本文では

犬には吠えている理由があるんです。

怖いよう。

とか

あっちへ行けよ。

とか、いろいろ言っている。

それを無視して人の都合で、やかましいから黙れと言っても、犬からすると理不尽なわけです。

そういう時は、犬が吠える理由とは違う指示を出せばいい。

たとえば「シット(座れ)」と言って、やることを上書きする。

すると犬は吠えるのをやめて座ります。

このテクニックを僕は「ストーリーを変える」と言います。

~以上本文引用~

ウェルシーは吠える傾向のある仔でしたから、私もウェルシーのパピー担当の訓練士さんにご指導をいただいて、この方法を使いました。

興奮吠え

この「ストーリーを変える」は、ウェルシーの場合は主に「興奮吠え」に効果がありました。

パピーの頃、車で出かけて外へ出ると、狭い場所から広い場所に出られた興奮や、知らない場所への不安などから、気持ちが高ぶってしまい吠えました。

吠えても「Sit」と言って座らせることを繰り返し、それだけではなかなか治らず、吠えた瞬間に「NO」も言いました。

「NO」は叱るというより

それ(吠えること)は違うよ。

という意味で「NO(それ違うよ)」「Sit(座りなさい)」と必ず「どうするべきか」指示を出すようにしました。

座れない場合も

「Sit」の指示に従わないのは違うよね。

という意味で「NO」と言い、そしてもう一度「Sit」という感じで、根気よく「こうしようね」と伝えていきました。

もちろん、座った瞬間に「Good~♪」です。

パピーウォーキングの終盤には、吠えは完全には治ってはいませんでしたが、ウェルシー自身がどうすればいいのか考えられるようになってきていました。

関連記事→吠えを何とかしたいその1 興奮吠え

1歳10か月になった今は、興奮で吠えるということはなくなりました。

もしかしたら、何かのきっかけで再発するということはあるかもしれませんが、「ストーリーを変える」方法で対処できると思います。

余談ですが、ウェルシーのもう一つの吠え「警戒吠え」も、現在はほとんど無くなりました。

引き続き様子を見ていきます。

怖いものに吠える

いつか、神奈川訓練センターに行ったときに、出入りの業者さんだと思いますが、カートに荷物を積んで歩いていました。

それを怪しい奴だと思ったのか、カートのガラガラという音にびっくりしたのか、近くにいた訓練士さんが連れていた訓練犬が吠えました。

そのとき、訓練士さんはどうしたと思いますか?

飼主の足の間に入る犬

訓練士さんは、自分がその場から離れながら犬に「Come」という指示を出していました。

これも「ストーリーを変える」だと思います。

このときは訓練犬は、指示だけで吠えるのをやめて、トトトっと訓練士さんの方に行きましたが、おもちゃを使うのもありだと思います。

「吠え」ではありませんが、階段を怖がって八つ当たり的に落ちているものを拾おうとしたウェルシーに対して、おもちゃで遊んであげて「楽しいね」という方向に持って行った訓練士さんの手法も「ストーリーを変える」だと思います。

拾い食いする犬をおもちゃで気を引く訓練士

関連記事→W-15胎 5回目のパピーレクチャー

それには「人の話を聞ける」「指示に従う」などのことができている必要がありますが、それが確実にできていないしつけ中の犬であっても、犬の気持ちを「吠える」から「違うもの」に持っていくことで、ストーリーは変えられると思います。

吠えるのをやめたところを褒めてあげることで「良い体験」が上書きされて、ウェルシーのように徐々に吠えなくなるということは十分期待できると思います。

犬が吠えると叱る人が多いと思いますが

叱っても改善しないなあ・・・。

と思う方はこの「ストーリーを変える」という発想を、愛犬のしつけの中に取り入れてみるのもいいかもしれません。

もちろん、犬が家族の一員として毎日をストレスなく楽しく過ごしているということは、しつけ以前に大切なことですね。

膝の上でくつろぐ犬

本の感想

こちらの本は、しつけ本というより、主に多和田さんの訓練士としての苦闘人生が描かれています。

私達ボランティアにとって超憧れの人であり、ボランティア仲間では多和田さんのことを「神」と言っていますが、本を読む限りでは「天才」ではなく「努力の人」だと感じました。

たくさんの失敗もあったことだろうと推測されますし、紆余曲折を経て体得された訓練方法だということを感じます。

体験がベースになっているところに重みがあり、仕事への情熱や、犬への愛情にも感動しました。

こちらもおすすめ

多和田さんのしつけ法は、犬を思いっきり楽しませることから始まります。

犬は楽しませてくれる人が好き。

「Good」と褒められることに喜びを感じられる犬は自ずと人の声に耳を傾けます。

犬とコミュニケーションが取れるようになれば、飼い主さんが

  • 犬にしてほしいこと
  • 犬にしてほしくないこと

を上手に伝えられるようになっていきます。

どちらの本も10年以上前の出版ですが、流行には関係なく犬との暮らしに役立つと思いました。

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Comment

  1. サナ父ちゃん より:

    先日インスタにアップされてた、ママさんがウェルシーちゃんをオモチャにしてたアレ(笑)も、この本を読まれて試していたのかなぁ、と思ってしまいました。

    Sit。

    と言われれば、テンション高くてもウェルシーちゃん、Sitしていいコにしてましたものね~♪

    私もあの本を読んで、ワンコも自分で判断できるようにしてあげる事も大事なんだなぁ、と思いました♪

    • gd.vol より:

      サナ父ちゃんさん
      インスタの動画は、本は意識していなかったのですが、ウェルシーはテンションが上がってもコマンドは入るので、遊びながらそれを強化したりはしています。
      課題は、持続しないこと。
      なので、じれてくると
      遊んで遊んで~♪
      と飛びついていましたよね。
      それをまた、Sitと座らせるのですが、座っても継続がなかなか難しいです。
      家ではできても、外ではできなかったりね。
      でもまあ、遊びながら楽しくやっていこうと思っています。

      わんこが、自分で判断できるようになるのは、大事なことだと私も思います。
      ちょっとでも良いところを褒めていこうと思います。

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