盲導犬繁殖犬に選ばれるのはどんな犬?

公開日: : 盲導犬ボランティア

繁殖犬飼育ボランティアのわが家でお預かりしている盲導犬繁殖犬ウェルシーさん、口さがない人たちに

この仔、盲導犬になれなかったから繁殖犬になったの?

と聞かれることがあります。

ウェルシーと子犬たち

(写真は初胎、ワトソン×ウェルシー子です)

確かに、家庭犬ブリーダーでは売れ残った犬を繁殖犬にすることもあるようですが…。

今日は

そうじゃなくってぇ~!!

というお話です。

盲導犬繁殖犬とは

盲導犬になる犬というのは、ほぼ持って生まれた気質で決まるとされています。

生まれつき盲導犬になる資質を持っていない犬は、どんな育て方をしても、どんなに優秀な訓練士さんが訓練をしても、盲導犬になるのは難しいのだそうです。

(盲導犬に向かないだけで、ダメな犬ではありません)

なので、盲導犬は「血統」が大切で、盲導犬繁殖犬から生まれた子犬たちの中から、次の世代を担う繁殖犬を選んでいきます。

繁殖犬候補犬以外のパピーは、比較的早い段階で去勢避妊手術を行ないます。

性ホルモンの影響による行動が、訓練するうえで「困りごと」になるためです。

そのため、盲導犬になった犬は自分の子孫を残せず、盲導犬とは別の犬が次の世代を残す繁殖犬になります。

では、盲導犬繁殖犬はどんな犬が選ばれているのでしょうか?

調べてみました。

AGBNについて

AGBNというのは、アジア・ガイドドッグ・ブリーディング・ネットワークの略で頭文字のA・G・B・Nをとっています。

AGBNの主な役割は

  • データベースを利用した繁殖犬の情報管理事業
  • 遺伝疾病対策事業
  • 交配および凍結精液事業
  • ヨーロッパおよびアメリカとの繁殖協力事業

です。

AGBNに日本の盲導犬協会9団体(北海道盲導犬協会、東日本盲導犬協会、日本盲導犬協会、中部盲導犬協会、関西盲導犬協会、日本ライトハウス、兵庫盲導犬協会、九州盲導犬協会)と韓国1団体、台湾2団体が加盟しています。

見つけた資料が古い(活動歴が2007年までしかありませんでした)ので、現在は加盟団体も増えているかもしれません。

私たち一般人は

盲導犬の繁殖は日本だけでなく、いろいろな国と情報交換や協力関係を結んで行なっていて、そのための組織がある。

と理解しておけば良いかと思います。

AGBNの繁殖犬基準

AGBN設立前は、各施設の責任者や繁殖担当者の判断だけで繁殖犬を選別していたことが多く、各施設の繁殖犬の健康状態や気質にはバラツキがあったとのことです。

AGBNとして活動するにあたり、「これが盲導犬繁殖犬」という共通認識を、各施設の実務担当者が持つことが必要ということで「繁殖犬の基準」を設けました。

繁殖犬の基準は、身体面と気質面に分けられます。

1.身体面

眼・股関節・肘と膝関節・心臓の身体的チェックを行うこと。

具体的には

  • 眼は角膜や網膜等を診断して異常がないこと(特に網膜の遺伝病がないこと)。
  • 股関節と肘関節はレントゲンを撮り、関節形成不全などの異常がないこと。
  • 特に股関節はアメリカOFA基準でEXCELLENT・GOOD・FAIRまでを繁殖犬とすること。
  • 膝に関しては脱臼などの異常がないこと。
  • 心臓は心電図をとり、異常がないこと。

となっています。

2.気質面

年4回開催する実務担当者会議の場における稟性評価において、繁殖犬に適した稟性が認められること。

となっています。

稟性評価について

稟性評価の方法は、実務担当者会議が開催される施設の繁殖犬を、訓練犬の訓練に使用する場所などを利用して、AGBN実務担当者全員で1頭ずつ歩行して評価します。

評価項目は

  • 威嚇
  • 警戒行動
  • 不安行動
  • 犬に対する注意力散漫(ネガティブ/ポジティブ)
  • 動物に対する注意力散漫
  • 食べ物に対する注意力散漫
  • におい取り
  • その他の注意力散漫
  • 興奮
  • 騒がしさ
  • 利己的行動
  • 適応能力
  • 人に対する感受性
  • 体感
  • 音に対する感受性
  • 喜求性

以上の16項目です。

評点は、低・中・高と大きく3つ分け、さらにそれぞれの評点を3段階に分けています。

評価にはAGBNの稟性評価表を使用するそうです。

繁殖犬を評価した後は、それぞれの犬について、評価者の評点の比較を行い、評価視点を一致させるミーティングを行っています。

また、評価した結果は、データベースに取り入れて繁殖情報および今後の繁殖に結びつける作業を行っています。

***

この記事のソースは以下のリンクです。

詳しい内容は

こちら(PDF)→全国の盲導犬協会の繁殖動向

をご覧いただければと思います。

まとめのようなもの

見つけた資料が古いので、繁殖に対する研究は日々刷新されていると思いますが、繁殖犬認定には、健康面と気質面において一定の基準があるのですね。

健康面はデーターが数字で出るので分かりやすいものですが、繁殖犬に向く気質については、フィギュアスケートの得点化みたいに事業団体の基準があることが分かりました。

命というものは一筋縄ではいかず、健康な両親犬から疾患を持った仔が生まれることもありますし

こんな気質の犬が欲しい!

と思って交配したのに、なぜか両親にあまり性格が似ていない、ということもありますね。

それだけ繁殖というのは奥が深いものなのだと思いました。

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