【パピーウォーカー】キャリアチェンジになった君を誇りに思うよ!7歳のシオンへ

盲導犬の候補犬に生まれても、実際に盲導犬になるのは3~4割程と言われています。

研究の成果もあって、私の印象では最近は4割を少し超えるくらいと感じています。

盲導犬になるのはなかなか難しく、そのためどうしても

盲導犬=優秀な犬

というイメージがありますよね。

段差を教える模擬訓練

私もボランティアを始める前は、優秀な犬が盲導犬になるのだと思っていましたし、キャリアチェンジ犬をダメな犬とまでは思いませんでしたが「平凡な犬」くらいには思っていました。

最も、自分もただの「平凡な人」なので

「平凡な犬」で何が悪い?

って思いますけどね。

キャリアチェンジになった君を誇りに思うよ

わが家でパピーウォーキングをした仔は、ウェルシーを除き全てキャリアチェンジになりましたが、みなそれぞれのご家庭で楽しく生活しています。

今日は、3頭目パピーのシオンのお話です。

返したいと思ったほど育てにくい仔

シオンはわが家にとって初めての男の子でした。

態度はデカいし、いたずらっ子の上に強気でオレ様タイプ。

気に入らないことがあると甘噛みなんてものではなく、攻撃的に(顔もすごくキツくなる)ガブガブ噛んできました。

腕は傷だらけ。

子犬の噛み傷

散歩に行っても気に入らないことがあると、飛びつく噛みつく。

しかも、しつこい。

飼い主に飛びつき抗議する子犬

服は何枚も破かれ、ご近所さんからは「反抗的な犬」と言われ

なんで、この仔がうちなの?

と訓練士さんを恨みましたし

もう返したい!

とも思いました。

しかし、シオンと接しているうちに「強気」とか「反抗的」なのではなく「神経質で怖がり」なのだということが分かってきました。

私の中では、怖がる仔って固まるとか震えるというイメージがありましたが「怖い」や「嫌」という気持ちを「飛びかかる」「噛みつく」「吠えたてる」など、人にとっては不快な態度で表現する仔もいるのです。

まずは、それが発見でした。

包み込むような優しさで育てる

私たちは、シオンが生後5か月になる頃には

この仔は盲導犬には向かない!

ということを(勝手に)確信したので

なんとか、家庭犬として気に入ってもらえる仔には育てよう。

と早々に白旗を掲げたのでした。

しつけ方など、技術面は訓練士さんに相談しましたが、生活面では

絶対に叱らず、包み込むような優しさで接していく方針にしました。

シオンは(人から見ると)些細なことでストレスを感じて荒れるので、穏やかに笑顔で接していきました。

どんなシオンでも全部大好きだよ。

という気持ちがシオンに伝わり

ぼくは、ここで安心して暮らせるんだ。

とシオンが感じてくれた頃から、犬が変わったように聞き分けが良く、穏やかな犬に成長していきました。

7歳のシオン

私たちの予想通りに早々にキャリアチェンジになったシオンは、神奈川県のあるご家庭の仔になりました。

CCボランティアさんとは、時々手紙のやり取りをしていますが、今年も2月1日に7歳の誕生日を迎えたシオンの近況を知らせてくださいました。

7歳のシオン

シオンのご家族は、シオンとのんびり生活している様子で、写真のシオンもいつも穏やかなお顔です。

「シオンがゆったり暮らせるお家」というのは私たちの希望でもあり、シオンにとっては最高のご家庭にご縁を結べたと思っています。

いただいたお手紙によると、昨年パパさんが体調を崩してしばらく入院していたということでした。

シオンはパパさんが退院して帰宅したときは、ずっとパパさんのそばで寄り添ってくれていました。

飼主に寄り添う犬

パパさんの入院中は、心配と不安で混乱の日々を送るママさんに寄り添い、ママさんは

シオンがいてくれなかったら、私は平常心を保てなかったかもしれない。

と言い、現在は

毎日の散歩が夫の体力回復に役立っています。

シオンはわがままを言わないし、いつも家族を見て(気にかけて)行動をしてくれます。

シオンは私たちの天使です。

と言い、そして

シオンのことは私たちがずっと守っていきますのでご安心ください。

と結んでいました。

段ボールを齧る子犬

悪ガキ(元)シオン君

君の本当の姿は「天使」だったんだね。

盲導犬になるとは瞬間風速1ミリくらいしか思っていなかったけどさ、ご家族にこんなセリフを言わせるほど化けるとも思っていなかったよ。

一瞬でも

もう返したい。

なんて思ってごめんよ~。

まとめのようなもの

日盲のパピーウォーカーさんで、育てたパピーがキャリアチェンジになったことを伝える連絡をもらって喜ぶ人はまずいませんよね?

二度と手元には帰って来ませんものね。

私たちはシオンを育てるのに大変な思いをしましたが、シオンのお陰でパピーウォーカーとして成長できたと思っています。

シオンの成長と共に、シオンの中に人の心を察する能力の高さと、人とは違う形での共感力の高さ感じることがありました。

それは、繊細なシオンの中にキラッと輝くものでした。

それは「盲導犬」という方向には向きませんでしたが、家族の力になり支えになり、癒しになる大きな力でした。

犬舎へ向かう子犬

シオン

キャリアチェンジになった君を誇りに思うよ。

これからもずっとご家族に寄り添ってあげてね。

7歳、おめでとう。

ずっと大好きだよ。

(写真は全てシオンです)

スポンサードリンク
PREV
【委託終了式】繁殖犬飼育ボランティアの気持ちとか
NEXT
【動物病院選び】こんな動物病院二度と行きたくない

ケインママ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Comment

  1. ケインママ より:

    シオンくん、お誕生日おめでとう〜🎉
    あのパピーだった子がもう7歳なんてね、、、
    シオンくんの穏やかなお顔を見ると、お家の方に愛されているのがよく分かります。
    ご家族にとっても、シオンくんにとっても、お互いが掛け替えの無い存在になっているのですね。
    シオンくんの幸せは、PWパパママの幸せでもありますよね♡
    これからも元気でいてね♪

    • gd.vol より:

      ケインママさん
      ありがとうございます。
      育てたパピーが幸せで、迎えてくださったご家族を笑顔にしていることが、何よりの幸せです。
      あんなにオレ様だったのに、家族の心情に寄り添える優しい男の子になってくれて、パピーウォーカーとしても嬉しい限りです。

関連記事

犬に芸を教えると飼い主が大好きになる|お手くらいできるもん!

昨日の記事にシオンのことを 芸どころかお手すらもできない と書きましたが こちら→雨の日はおう

記事を読む

ごはんタイムにできる子犬のしつけ

毎日のごはんはわんこの楽しみですね。 ごはんは毎日のことなので、その都度犬にいろいろなしつけをする

記事を読む

掃除機にじゃれつく子犬|Wait(待て)で我慢できるかな?

シオンは委託当初から掃除機を怖がらなかったので助かりましたが、掃除機が大きなおもちゃになってしまいま

記事を読む

べったり そしてまったり

11月16日と17日、父の葬儀のため訓練センターに一泊したシオンですが、どんな様子だったのか訓練士さ

記事を読む

人とコミュニケーションが取れる犬になってきた

わんことコミュニケーションが取れるようになってくると、犬との暮らしが楽しくなりますね。 人の言葉を

記事を読む

抱っこされる犬

甘噛みを叱ったら子犬に嫌われた?「飼い主さん大好き」を取り戻すには

この夏、シオンはパパのお膝にほとんど行きませんでした。 暑いのにもかかわらず、私の膝には来ていたん

記事を読む

【面会】パピーウォーカー最後の日|たくさんのありがとうを伝えたくて

日本盲導犬協会では、パピーの入所後、キャリアチェンジまたはTP2通過時にパピーウォーカーとの面会があ

記事を読む

他の動物に反応する犬 ここまで成長しました

小さい頃のシオンは、犬でも猫でも鳥でも、もちろん風に舞う葉っぱやゴミでも、動くものに対して条件反射の

記事を読む

預かり訓練後 成長と残りの時間を意識するパピーウォーカー

訓練センターへのお泊り(預かり訓練)が終わって家に帰ってきたウェルシー。 帰ってきた日は、やっ

記事を読む

子犬の成長は嬉しくもあり寂しくもあり!車に飛び乗るときのエピソード

小さい頃のシオンはクレートが苦手だったので、長時間のドライブのときは足元に乗せていました。 車に飛び

記事を読む

美保関灯台からの景色
犬連れ美保関散策|美保神社・青石畳通り・美保関灯台

ウェルシーだよ♪ 島根県松江市にある美保関を散策したよ。 江戸時代か

抱っこされる子犬
明日へ命を繋ぐ!盲導犬繁殖引退犬ウェルシーに孫が生まれました

わが家のお預かり繁殖引退犬ウェルシー、この度孫が生まれ、晴れておばあ

覚えているかな?パピーウォーカー育てたパピーと約10年ぶりの再会

日本盲導犬協会では、育てたパピーが盲導犬にならなかった場合、原則とし

散歩する犬
犬の急性胃腸炎は早急に動物病院へ!原因・症状・治療・完治まで

9月も終盤になりましたが、まだ、日中は30℃近くなる日もあるウェルシ

麦茶を飲む犬
犬に麦茶は大丈夫?ダイエット中の犬の水分補給にベストかも

9月も中旬になりましたが、まだまだ暑いウェルシー地方です。 夏バテや

→もっと見る

  • follow us in feedly


    PAGE TOP ↑