凍結精液による人工授精と自然交配で子犬が生まれました
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繁殖犬~引退後のウェルシー
日本盲導犬協会では、ボランティアの自宅出産も可能ですが、富士ハーネスに設備が整っているので、多くの母犬は富士ハーネスで出産育児をしています。
3回目の出産のため、富士ハーネスに里帰りしていたウェルシーですが、無事に出産しました。
今回の交配は、凍結精液による人工授精のエリオット(フランスCESECHA)と自然交配のベイリーとの2本立てでした。
親子鑑定の結果、どちらの父犬の子も授かることができました。
1度の出産で2血統って、ウェルシー、君は欲張りだね(笑)
日本盲導犬協会HP→【親子だより】盲導犬繁殖犬ウェルシーが出産しました
犬の交配方法
犬(に限りませんが)の交配方法には自然交配と、人工交配があります。
人工交配には
- オスの精液を採取し、シリンジやカテーテルによって膣内に精液を注入する方法。
- あらかじめ採取し、凍結保存された精液をメスの子宮内に注入する方法。
があります。
盲導犬協会に限らず、家庭犬のブリーディングであっても、現代ではほとんどの犬は自由恋愛による交配はしていません。
犬の繁殖は、盲導犬協会の場合は当然「盲導犬に向く犬」を誕生させるためですし、家庭犬ブリーダーの場合は「犬質を向上させる」(犬種標準・健康・性格)ことが目的です。
JKCのHP→健康な犬を繁殖するには
なので、犬の意志ではなく人の意思で交配相手を決めることになります。
人工交配
日本盲導犬協会では、多くは自然交配を行なっています。
このオス犬とこのメス犬を掛け合わせたら、お互いの長所を引き出して、生まれてくる子犬たちは、盲導犬になる確率が高いと思われるだろう。
と考えて交配相手を選んでも犬にも相性があり、なかなか交配がスムーズにいかないこともあります。
そうなると交配に時間がかかり、犬にもストレスがかかるので、人工交配になる場合があります。
人工交配は生体接触がないため、感染症のリスクが抑えられるというメリットもあります。
(日本盲導犬協会では、交配の予定がある犬は事前にメディカルチェックを行なっています。)
凍結精液を使った人工授精
最初から凍結精液を使った人工授精を選択する場合もあります。
盲導犬協会では、良質な盲導犬の育成を安定的に行うため、国内外の盲導犬協会と連携して新たな血統を導入しています。
例えば、海外の血統を導入したいときには
- メス犬を海外で交配させる。
- メス犬を輸入する。
- オス犬を輸入する。
- 凍結精液を輸入する。
などが方法として考えられます。
凍結精液を使った人工授精は、犬を移動させることなく繁殖できるため、移動による犬のストレスが無いことや、移動にかかる費用が抑えられることがメリットです。
凍結人工授精はデリケート
盲導犬協会では、凍結精液の研究や凍結精液を使った繁殖の研究も行なわれています。
こちら→凍結精液の研究
凍結人工授精は、凍結された精子を解凍して用います。
いったん凍結された精子は解凍された際、生存率や活動性が低下してしまうので、排卵日をきっちりと特定したうえでピンポイントのタイミングを計り、子宮内に注入しなければなりません。
自然交配よりホルモン値をよりシビアに計測する必要があるため、ウェルシーはシーズン開始7日目から毎日血液検査をしました。
その日数なんと10日間連続!
ホルモン値がなかなか上がらないと、採血の日数はさらに増えます。
毎日針を刺され血を取られる犬も大変ですが、日本盲導犬協会の場合は検査や交配は「通い」になります。
繁殖犬飼育ボランティアの基本条件
1 神奈川訓練センター近郊にお住いで、移動手段として車をお持ちであること
交配やメディカルチェックなどで、協会に来所していただくことがあるためです。
出典:日本盲導犬協会HP
お預かり犬が凍結人工授精になると、協会に通う日数が増えるので、繁殖犬メス犬飼育ボランティアのお仕事で一番の頑張りどころかもしれませんね。
協会によってシステムはそれぞれで、シーズンが始まって数日後から交配終了まで協会預かりになるところもあります。
その代わり出産子育ては、ボランティアの自宅だったり…といろいろです。
ウェルシーは血を取られるだけなのに、毎回楽しそうに協会の医務室に行ってくれました。
連日協会に通うのは大変でしたが、ウェルシーがいつも明るく、行き渋ることも無く、到着すると大喜びでお腹を出して、スタッフさんに甘えていたので本当に助かりました。
いつも明るく前向きなウェルシー♪
これは君の最大の長所だと思うよ。
凍結人工授精での受胎率がどのくらいなのか?
私は知識が無いので分かりませんが、エコー検査で無事に受胎が確認できたときは心からほっとしました。
そして、妊婦期間を体調管理に気を付けて過ごし、富士ハーネスにウェルシーを送り届け、無事の出産を祈っていました。
まとめのようなもの
ウェルシーは3回目の出産を終えました。
母子ともに元気に過ごしているということです。
今回は、凍結精液による人工授精と自然交配での妊娠出産でした。
実はウェルシーの父犬のユオン君も、わが家の3頭目パピーのシオンも、凍結人工授精で生まれた仔なんですよ♪
ボランティアやスタッフさんの努力や研究があって、母犬の頑張りがあって、私たちは可愛いシオンを育てさせてもらえたのですね。
みんな大切な命ですね。
ウェルシーの子犬たちが、たくさんの人を笑顔にしてくれることを願っています。
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Comment
今回は10回も協会へ通われたのですね〜!
パパさんママさん、ウェルシーちゃんの送り迎え本当にお疲れ様でした。
雄犬の場合は3、4回で済むので、女の子に比べたらまだ楽だったかもしれません。
(ただ、お仕事が多い雄繁殖犬は、度々交配の呼び出しがかかることもありますが)
協会でスタッフさんにお腹を見せて大喜びのウェルシーちゃん、可愛いですね〜♡
ケインの交配の時も協会に行っては喜び、お迎えに行っては大喜びしてくれたのを懐かしく思い出しました。
協会好きっ子なのは助かりますよね♪
ケインママさん
今回は通い詰めましたね(笑)
都内は道が混むので、それだけは大変でしたが、ウェルシーがスタッフさんに会えるのを(遊んでくれるわけじゃないんですけどね)楽しみにしてくれたので助かりました。
ウェルシーにとって、協会が楽しい場所で良かったです♪
ケイン君と同じように、協会に行っては喜び、お迎えに行っては喜びでした。
パパ犬も「いつ頃お仕事になります」と協会から連絡をいただいても、ママ犬のシーズン次第なので予定が立たなかったり、交配が集中するときは短期間に何度も行くことになって、それも大変ですね。
でも、可愛いパピーに会えると疲れも吹き飛びますね。
パピーウォーカーさんに可愛がられてすくすく育って欲しいです。