犬のしつけ「無視」はイジメ?無視の方法と犬を無視することが効果的な場面
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しつけ
犬のしつけの方法の中で「犬を無視する」というものがあります。
好ましくない行動が「無視」によって全て良くなるわけではなく、「無視」という方法が効果的な場面もあれば向かない場面もあります。
犬への上手な「無視」のやり方と、効果がある場面について考えてみました。
「無視」が効果的な場面
犬を無視することが効果的な場面は、飼い主(目の前にいる人)に対しての行動です。
例えば、吠えるのをやめて欲しい場合
- 来客のチャイムの音に吠える。
- 遊んで欲しい、ごはんが欲しい、など要求を伝えるために吠える。
「無視」が効果的なのは要求吠えです。
わが家では1頭目パピーのイズモがごはん吠えする仔で、訓練士さんの家庭訪問のときに「無視」をご指導いただきました。
イズモは飛びつきも、「NO」と叱っても治らず、「Sit」と言って座らせてもまたすぐに飛びついてしまい、悩んだ末「無視」が一番効果がありました。
こちら→子犬の飛びつきをやめさせるのは無視が一番効果があった
甘噛みも、多くの場合子犬の甘噛みは「遊んで」とか「かまって」というものなので叱っても「人の気を引くことができた」と思われてしまいます。
噛まれたときに手や足を引くのも(痛いのでついやってしまいますが)子犬からしたら「逃げるものを捕まえる」という狩猟本能を刺激され、人の手や足が「楽しいおもちゃ」に見えるだけです。
月齢の低い子犬の甘噛み対策は、噛ませないようにそっと手を胸の辺りで小さくまとめ「無視」します。
「無視」というのは、犬に
そんなことは私にしないでね。
とボディーランゲージで伝えるもので「叱る」というのとは少し違うかもしれませんね。
上手な無視の方法
無視の三原則は、見ない、触らない、声をかけない、です。
犬をそこにいないかのように扱うのですが、人間にとって意外と難しいんですよね。
人の世界で「無視」というのは
私は怒っているんだからね!!
というのを「会話」で相手に伝えることもできるはずなのに、態度で示すイジワルな方法です。
なので、吠える犬につい視線をやって
ふ~ん、そんなことしちゃうんだ~!
そんなことしたって、ママは知りませんよ~。
みたいな態度を取ってしまったり、無視=イジメと感じてしまい、可哀想になって犬を見てしまったりするんですよね。
言葉ではなく、ボディランゲージでコミュニケーションを取る犬は、人のちょっとした反応も見逃しません。
「言葉をかける」「なでる」「何かしてあげようと行動する」以外にも「微笑む」「視線を向ける」ということも、反応のうちに入ります。
人が反応してしまうと、犬には「そんなことをしないでね」は伝わらず、吠えたり噛んだりも治りません。
無視する時間はどのくらい?
犬を無視するのは、犬がしてほしくない行動を始めてから、行動をやめるまでです。
犬によっては、ごはんが欲しくて吠えているのを無視していると、さらに大きな声で激しく吠えることもあります。
ここで人の心が折れてフードを与えてしまうと
たくさん吠えればフードをもらえる。
という学習につながり、要求吠えが強化されてしまうこともあります。
やるからには人も腹をくくる必要がありますね。
褒めて終わる
ごはんが欲しくてたくさん吠えていた犬が、吠えるのをやめたのでごはんを与えました。
犬にとってはフードそのものがご褒美になりますが、このとき笑顔で「Good」と褒めてごはんをあげるとさらにいいですね。
吠えないことが「いいこと」なのだ、と犬に伝わりやすいです。
飛びつきも同じです。
いくら飛びついても飼い主さんは石のように固まって、反応してくれないなあ。
飛びつくの疲れたから座ろう。
と犬が座ったら「Good」と褒めてあげると
飛びつかないことが良い行動だ。
というのを犬が理解しやすいです。
「褒めて終わる」のは、犬を叱る場合も同じで、叱ったことでしてほしくない行動を犬がやめたら必ず褒めて終わりにします。
こちら→犬が理解できる正しい叱り方は「NO」と「Good」を効果的に使う
まとめのようなもの
犬のしつけ方法として「犬を無視する」があります。
犬のしつけに使う「無視」は、人の世界の一般的な「無視」(間違えるとイジメになりますね)とは別物で
そんなことを私にしないでね。
ということを、ボディランゲージで伝えるものです。
「無視」には効果がある場面と向かない場面があります。
効果があるのは、飼い主(目の前にいる人)への行動に対してです。
なので
例えば、要求吠えには効果があっても、警戒吠えや留守番吠えに「無視」は向きません。
家具を齧る、部屋の物をいたずらするなどにも「無視」は向きません。
無視をする時間は、行動が発生したときから行動をやめるまでです。
行動がやまないうちに人が反応してしまったり、行動をやめたにもかかわらず無視の状態が続いていると、犬は「何がいけない行動なのか」理解できなくなります。
行動をやめることができたら必ず褒めて終わりにすることで、犬はその行動をしないことが良いことなのだと理解しやすくなります。
その子のペースに合わせて、根気よく伝えてあげてくださいね。
(写真は1.2枚目ウェルシー、3枚目ツムギです)
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